サイトカインの抗炎症作用と組織修復作用を利用、アトピー性皮膚炎の症状を改善しましょう。アトピー性皮膚炎は、小児期に多いというイメージがあります。実際には成人になってからも症状が治らない症例や、成人した後にアトピー性皮膚炎を発症する症例もあります。
主な症状として「湿疹と痒み」が身体の一部分や、広範囲にわたって継続的に発生します。症状が良くなったり、悪くなったりを繰り返すことも特徴で、気候の変動や花粉などの季節的な外的因子が影響を与える場合もあります。痒みが我慢できずに皮膚を掻きむしることで、さらに皮膚の状況が悪化し皮膚のバリア機能が破壊されてしまいます。バリア機能を失うと皮膚内部の水分が保持できなくなってしまうために、皮膚が乾燥して外部からの刺激物が皮膚に入りやすくなります。この悪循環が繰り返し発生することによって症状が長期化してしまうことでなかなか治らなくなってしまいます。

アトピー性皮膚炎の治療は、殆ど対症療法で、ステロイド外用療法を主としていました。皮膚を乾燥から防ぐための保湿外用剤の使用方法を指導します。皮膚の痒みに対しては抗ヒスタミン剤や抗アレルギー剤を併用する場合もあります。症状が悪化する原因であるアレルギーを起こす物質を可能な限り除去することが治療には求められます。現代ではひとつの皮膚の病気というだけではなく、その症状を抱えながら生活していくことの難しさが指摘されています。アトピー性皮膚炎が治らないことで就労や結婚にまつわる悩みを聞くことがあります。このように治療を取り巻くいろいろな環境や悩みが、ある種のストレスへと変化して家庭内や社会生活での深刻なトラブルに繋がる場合もあるのです。

そのような状況の中で難治性アトピー性皮膚炎に対して自分の体の中に存在する間葉系幹細胞を体外で培養し,その培養上清液で点滴によって体内に戻すという治療が功を奏するという報告がなされてきています。間葉系幹細胞は、脂肪や骨髄内に存在し多様な細胞に分化できる能力を持つことがわかっています。点滴静脈注射された間葉系幹細胞培養上清は難治性アトピー性皮膚炎に大きく関与するインターロイキン3とインターロイキン14というサイトカインの出現を抑えると考えられています。インターロイキン3とインターロイキン14は皮膚の炎症と痒みを誘発するタンパク質です。

培養上清液に含まれている主なサイトカイン(増殖因子)とは

EGF (epidermal growth factor)
表皮細胞に増殖のシグナルを出して細胞のターンオーバーを促進する。

aFGF(acidic fibroblastic growth factor)
上皮細胞に増殖を促すと同時に線維芽細胞からのコラーゲン、ヒアルロン酸、SODなどの産生を促す。*SOD:superoxide dismutase (活性酸素除去酵素)。

bFGF(basic FGF)
線維芽細胞増殖因子。上皮細胞、筋細胞などに作用して細胞増殖を促す。

KGF(keratinocyte growth factor)
毛母細胞増殖因子。毛母細胞に作用して増殖を促す。

VEGF(vascular endothelial growth factor)
血管内碑細胞増殖因子。新生血管の形成に作用する。

TGF-b(transforming growth factor-beta)
ベータ型変異増殖因子と呼ばれ、 組織発生、細胞分化、胚発育において重要な役割を果たす。
抗炎症効果がある。

IGF-1(insulin like growth factor-1)
インスリン様増殖因子と呼ばれ、細胞の増殖を促す。

PDGF(platelet derived growth factor)
血小板由来増殖因子。線維芽細胞の増殖を促す。

HGF(hepatocyte growth factor)
肝細胞増殖因子。細胞増殖を促し、臓器形態の形成に働く。
血管新生やアポトーシスと呼ばれる細胞死を抑制する。

IL-7(interleukin-7)
幼弱免疫細胞の増殖因子として働く。

G-CSF(granulocyte colony stimulating factor)
顆粒球の増殖誘導因子である。

GM-CSF(granulocyte macrophage colony stimulating factor)
顆粒球、単球マクロファージの増殖誘導因子である。

EPO(erythropoietin)
赤血球の生成に働く。