353
日本人の死因第1位となっているがん。
そのがんを予防したり、治療したりするうえで注目を集めているのが免疫細胞療法です。

自分の血液から免疫細胞を取り出して、数を増やしたりパワーアップさせたりして体のなかに戻すので、副作用がほとんどないだけでなく抗がん剤治療などと併用することで相乗効果が期待できるのです。
今回は、免疫細胞療法について詳しくお伝えします。

免疫細胞とは

免疫細胞療法についてご紹介する前に免疫や免疫細胞について知っておきましょう。
免疫とは、もともと体に備わっている防御システムです。

たとえば、ウイルスや細菌などが体に入ってくるとさまざまな細胞が反応して排除しようとします。
それらは「樹状細胞」や「マクロファージ」「T細胞」「NK細胞」など。これらの細胞を総称して指すのが免疫細胞なのです。

いわば免疫システムの根幹を担っている細胞たちだといえるでしょう。
もちろんがん細胞にも免疫細胞は立ち向かってくれるので、日々発生しているがん細胞の増殖を抑えて私たちの健康を守ってくれています。

免疫細胞に注目した免疫細胞療法とは

手術や放射線療法は部分的ながんの治療に向いていますが、転移したり体中に広がったがんに対しては有効ではありません。
その点、化学療法(抗がん剤)は全身のがんに作用してくれますが副作用がつらく、苦痛を伴います。

しかし、第四のがん治療として注目を集めている免疫細胞療法なら、体への負担が少ない状態で長期的な効果が期待できるのです。
ただ、免疫細胞療法単独で大きながん細胞を死滅させる力はありません。そのため、手術や抗がん剤治療と組み合わせることが現状では一般的な活用方法だといえるでしょう。

免疫細胞療法の種類

免疫細胞療法には種類がいくつかありますが、大きく「非特異的」か「特異的」かの2つに大きく分けられます。
非特異的というのは体全体の免疫力を高める方法に対して、特異的はがん細胞に特化して免疫力を高めることを指します。

まずは、「非特異的」である「活性化自己リンパ球療法」と「特異的」である「樹状細胞ワクチン療法」に焦点をあててご紹介します。

活性化自己リンパ球療法とは

354
自分の細胞を使って体全体の免疫力を高める「活性化自己リンパ球療法」は、いくつかの種類があります
その一部を簡単にご説明します。

LAK療法
患者から試験管3本程度の血液を採血し、リンパ球を抽出して培養・活性化した後に体内に戻す方法です。
それにより免疫力アップを図ります。

NK細胞療法
リンパ球のひとつである「NK細胞」のみを抽出し増殖・活性化させて体内に戻す治療法になります。
NK細胞はがん細胞が変化したりしても追うことができるだけでなく、がん細胞に対する攻撃力が強いので、がん細胞を攻撃するうえで主力となるのです。

樹状細胞ワクチン療法とは

がん細胞を攻撃するうえで司令塔となる「樹状細胞」を取り出して培養したものを体に戻す治療法となります。

上記の治療法と大きく異なるのは、樹状細胞に人工的に作ったがんの目印となるがん抗原を教えることです。
それにより効率的にリンパ球を誘導して、がん細胞を攻撃できるようになります。

免疫細胞療法のなかでも最強とわれる「CTL療法」

人工的に作られたがん抗原ではなく、患者さん本人から摘出したがん組織があればより効果的な治療を受けることができます。
それがCTL療法と呼ばれるものです。

患者本人の組織からがん抗原を取り出して細胞に覚えさせることで、人工的に作られたがん抗原より効果的にがん細胞を狙えるようになります。
方法は、患者から血液を採血してそこから樹状細胞やリンパ球のひとつであるT細胞を抽出します。

そしてこれらにがん抗原を認識させ、増殖させてから体内に戻すだけ。この療法は再発予防においても有効性を示しているのが特徴です。
ただし、「腫瘍を提供できる方」や「標準的な点滴を12回以上受けられる方」といった条件をクリアする必要があります。

免疫細胞療法には、上記以外にもさまざまな種類がありそれぞれの培養にかかる時間なども異なってきます。
自分の症状と照らし合わせながら、どの治療を現在の治療法と組み合わせるべきなのかを医師との相談のうえ検討してみてはいかがでしょうか。
%e3%82%b9%e3%82%af%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%83%e3%83%88-2016-11-22-11-25-33