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日本人の死因第1位となっているがん。そのがんを予防したり、治療したりするうえで注目を集めているのが免疫細胞療法です。
わたしたちの体内では、健康な人でも常にがん細胞が発生していると考えられています。しかし、がん細胞を攻撃する免疫細胞も存在しているため、すぐにはがんにはなりません。様々な理由でがん細胞と免疫細胞のバランスが崩れ、がん細胞の増殖が上回ったときにがんという病気になります。そこで、免疫細胞を人為的に増殖し、その働きを強化することでがん細胞を抑え込もうというのが、がん免疫細胞療法です。患者さんご自身の血液から免疫細胞を取り出し、数を大量に増やし、攻撃する働きを強化して患者さんの体に戻します。つまり、“自分で治ろうとする力”を活用するという方法です。
自分の血液から免疫細胞を取り出して、数を増やしたりパワーアップさせたりして体の中に戻すので、副作用がほとんどないだけでなく抗がん剤治療などと併用することで相乗効果が期待できるのです。

免疫細胞とは?

免疫細胞療法についてご紹介する前に免疫や免疫細胞について知っておきましょう。免疫とは、「自分と違う異物」を攻撃し、排除しようとするもともと人間に備わっている体の防御システムのことです。例えば、ウイルスや細菌など病気の原因になる微生物(=病原体)が体内に侵入したとき、体の細胞は「自分とは違うものが入り込んだ」と判断し、排除しようとします。それらは、「樹状細胞」や「マクロファージ」「T細胞」「NK細胞」などと呼ばれており、これらの細胞を総称して指すのが免疫細胞なのです。免疫システムの根幹を担っている細胞たちだといえるでしょう。もちろんがん細胞にも免疫細胞は立ち向かってくれるので、日々発生しているがん細胞の増殖を抑えて私たちの健康を守ってくれています。

免疫細胞療法は、この免疫細胞に注目した治療法です

手術や放射線療法は部分的ながんの治療に向いていますが、転移したり体中に広がったがんに対しては有効ではありません。その点、化学療法(抗がん剤)は全身のがんに作用してくれますが副作用がつらく、苦痛を伴います。
しかし、第四のがん治療として注目を集めている免疫細胞療法なら、体への負担が少ない状態で長期的な効果が期待できるのです。
ただ、免疫細胞療法単独で大きながん細胞を死滅させる力はありません。そのため、手術や抗がん剤治療と組み合わせることが現状では一般的な活用方法だといえるでしょう。

免疫細胞療法のメリット

1.副作用がほとんどない

患者さんご自身の細胞を用いるため、副作用はほとんどありません。まれに発熱やアレルギー症状がみられる程度で、生活の質 (Quality of Life:QOL)を維持しながら治療を受けることができます。抗がん剤や放射線療法との併用で相乗効果が期待できます。
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2.再発・転移予防に効果がある

再発・転移の予防に効果があると認められるエビデンス(医学的根拠に基づく治療)がある治療です。臨床試験に基づいたデータでは手術後の再発予防効果が示されています。また、免疫力強化という点で、発がん予防としての期待も高まります。

免疫細胞療法の種類

がん免疫細胞療法は、細胞工学や分子免疫学など最先端の科学に基づいた先進的な治療です。血液中には免疫にかかわるさまざまな細胞が含まれており、それぞれがんに対する働きや役割が異なります。また、一人ひとり顔が違うように、がん細胞もさまざまな個性を持っています。免疫細胞療法はその個性に合わせ、個々の患者さんに適した「個別化医療」を行うことが可能です。
がん免疫細胞療法は大きく、活性化自己リンパ球療法(αβT細胞療法=CD3-LAK療法及びNK細胞療法)樹状細胞ワクチン療法とに分けられます。そしてその作用を組み合わせた、再発予防に対するエビデンスが示された、自己がん抗原刺激型CTL療法(AKT-DC療法)があります。
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1.活性化自己リンパ球療法

αβT細胞療法(CD3-LAK療法)

患者さんから試験管3本程度の血液をお預かりしその中からTリンパ球を分離し、体外で2週間程度培養、強力に活性化させ数十億個以上に増やし患者さんの体内に戻すことでがんの成長を抑制していく治療です。

活性化自己NK細胞療法

患者さんの血液中からNK細胞のみを活性化・増殖させたものを体内に戻す治療法で、NK細胞自体は抗原特異性が無く直接目的箇所へ向かうことができ、他の免疫細胞と比べても柔軟にがん細胞を攻撃することができます。

NK細胞の特徴

αβ(アルファベータ)型のTリンパ球を活性化させることを基本とする活性化自己リンパ球療法に加え、選択的にNK細胞を増殖させる技術が利用できるようになりました。これまでは、NK細胞を増殖させても染色体に異常が生じ、安心して利用できる技術は確立できていませんでしたが、当社が採用した新たなNK細胞の培養法は、このような問題点を解消した安心できる技術です。
αβ型 Tリンパ球はHLAクラスIが発現しているがん細胞を標的とするのに対し、NK細胞はHLAクラスIの発現が低下・消失したがん細胞を標的に傷害性を示します。
細胞は強度なストレスにさらされると、その細胞表面上にMICA等のストレス誘導性のタンパク(群)を提示するようになります。がん細胞表面にはこのMICA等のストレス誘導性のタンパク質が大量に発現してきます。
NK細胞はMICAを認識できるNKG2Dとよばれる細胞表面の活性化受容体をもっており、これらが結合することでがん細胞を殺傷する機構を兼ね備えています。
患者さん個々のがんの中にはHLAクラスI陽性・陰性の両タイプのがん細胞が混在している場合もあり、これら二種類の活性化細胞を患者さんに合わせて選択できるようになったことは、治療効果増強につながるものと考えられます。またNK細胞は、抗体医薬でがん細胞が傷害される機構である、ADCC(抗体依存性細胞傷害)を担う中心の細胞であり、製薬企業が開発を進める抗体医薬との相乗効果が期待されています。

2.樹状細胞ワクチン療法(Th1 細胞活性化型)

樹状細胞(Dendritic Cell=DC)とは、体内でがん細胞を直接攻撃するTリンパ球に、がんの目印(がん抗原)を教え、攻撃の指示を与える免疫細胞です。樹状細胞にがん細胞のタンパク質が取り込まれると、それが細胞内で分解され、患者さんのがんの情報(抗原)として樹状細胞に記憶されます。すると樹状細胞は記憶した抗原を表面に目印として出します。それを患者さんの体内に戻すことで、「目印」を頼りにがん細胞だけを集中的に攻撃するTリンパ球 (細胞傷害性Tリンパ球:CTL)を効率よく誘導することができるのです。こうしたがん攻撃の「司令塔」ともいえる樹状細胞を用いて、がんをより効率的に攻撃することを目的とする治療法を、樹状細胞ワクチン療法(DCワクチン療法)といいます。
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3.自己がん抗原刺激型CTL療法

AKT-DC(Activated Killer T cells and dendritic cells)
手術後の再発予防にエビデンスのある理想的な治療法
AKT-DC療法は、2012年まで千葉県がんセンター木村秀樹博士のもとで国の認めた先進医療として臨床研究され、がん治療として提供されてきました。肺がんの根治手術を施された患者さんに対し、手術時に切除した所属リンパ節を用いて自己のリンパ球を増殖・活性化させ、強力にCTL (細胞傷害性Tリンパ球)を誘導する治療法です。がん所属リンパ節には患者さん自身の複数のがん抗原を提示しているDC(樹状細胞)が 自然に存在しており、抗CD3抗体の刺激なしにこれらの抗原提示によって増殖してくるキラーT細胞を中心に治療に用い、これにより増殖したリンパ球の多くがCTLとして活性化されます。術後の再発予防として理想的なテーラーメイド型の個別化免疫細胞療法と言えるでしょう。
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免疫細胞療法の有効性

がん再発予防における免疫細胞療法の効果と実際
Cancer Immunology Immunotherapy誌 2014年、DOI 10.1007/s00262-014-1613-0 千葉県済生会習志野病院 木村秀樹博士等による論文より

2007年4月から2012年7月に行った初発肺がん 手術556例中、適格(ステージ1B~IV、非小細 胞がん、76歳未満、PS 0または1 等)を満たす 103例を対象とし、統計は、最終的に無作為で 分別したグループA(免疫療法あり、50例)とグループB(免疫療法なし、51例)で比較することで行った。 いずれのグループも標準治療として、プラチナ製剤による化学療法は行っている。 免疫療法は自己のがん所属リンパ節から、「AKT-DC」 と称した樹状細胞(dendritic cell: DC)と活性化キラーT細胞(activated killer T-cell: AKT)を共に培養したものを利用している。化学療法は4コース行い、免疫療法は10-14コース行った。
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免疫細胞療法についてご不明な点はお問い合わせください

免疫細胞療法に関して、ご不明な点やご不安な点などございましたら当クリニックまでお気軽にお問い合わせください。

院長プロフィール

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院長 アンドリュー・ウォン 医学博士

1974 国立岐阜大学医学部入学
1976 ロータリー米山記念財団奨学生
1981 国立岐阜大学医学部卒業
1981 日本政府文部科学省外国人国費研究奨学生
1986 国立岐阜大学大学院 整形外科学修了。ガン治療と免疫研究で医学博士取得
1986 名古屋大学形成外科勤務後、欧米の有名な薬学科学者、アンチエイジング専門医、腫瘍学専門医、美容医療専門医の元で研修、研究を進める
1989 東京・六本木にドクターアンディーズクリニック(ライフスタイルマネジメント医療:モチベーションセラピー、ストレスケア、アンチエイジング、がん予防・治療、美容皮膚科、美容外科)開設
1999 カナダのトロントに北米研究所を設立、医薬品の開発とナノテクノロジーレベルの「経皮吸収ドラッグデリバリシステム」の研究を始める。
2012 中国大連大学の客員教授に就任
2017 国際抗老化再生医療学会会員、国際遺伝子免疫薬学会会員

アクセス

がん予防・治療・再生医療 Dr.アンディーズ クリニック
東京都港区六本木4-8-7六本木嶋田ビル6F
地下鉄日比谷線・大江戸線 「六本木駅」6番出口より徒歩約1分
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